東京都青少年育成条例 – ニヤリ / Just another WordPress site Wed, 12 Jan 2011 16:06:38 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.8.2 東京都青少年育成条例についてのあれこれ /archives/2011/01/tokyo-jourei.html /archives/2011/01/tokyo-jourei.html#respond Sat, 08 Jan 2011 15:44:10 +0000 http://qyen.org/?p=1018 東京都が東京都青少年育成条例を改正するとしてからネットが喧しい。

都青少年健全育成条例改正案:成立 民主「世論」に配慮 出版業界、根強い反発

過激な性描写の漫画やアニメとどう向き合うべきかで論争が繰り広げられてきた東京都の青少年健全育成条例の改正案は、出版業界や漫画家らの激しい 反発にもかかわらず成立した。最大会派の民主は6月の都議会で反対して改正案を否決に追い込んだが、今回は、子を持つ親ら「声無き多数派」(幹部)への配 慮を優先させて賛成に回った。【石川隆宣】

ただ、どうも群盲象を語る的な印象が強いので、ここらで一端情報を整理してみようかと。
いくつかのエントリで都条例そのものとその規制内容、条例を巡る対立構造、都条例を改正する切欠となった現状の問題点を洗い出してみる。

ちなみに、この問題についてはtwitterでしばらくつぶやいていたので、俺自身の立ち位置はつぶやきから参照してくださいな。

コンテンツ

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東京都青少年育成条例 条例規則読解 /archives/2011/01/tokyo-jourei-code-regulation.html /archives/2011/01/tokyo-jourei-code-regulation.html#respond Sat, 08 Jan 2011 15:36:57 +0000 http://qyen.org/?p=1090 条例読解が済んでカウンターを書いてはみたものの、やっぱり条例規則まで踏み込まないとどうにもこうにも説明不足感が否めないので重い腰をよいしょと上げてみる。

新規則の全文がまだ見当たらないので、対照表改正部分旧規則から随時引きます。

とはいえ、既にh_wiz(@h_wiz)さんが読み下しをしてるので補完的なポジションに甘んじることとする。できるだけ図示や構造表示がしやすい部分に特化し、併せて読んで二度美味しい的なとこを目指すとしよう。そうしよう。

あくまでも補完なので、まずはこちらを読んでから。

コンテンツ


区分陳列とは何ぞや(指定図書/表示図書に求められる販売方法編)

タイトルなげぇ。

所謂ゾーニングで、特段の配慮が必要なもの(今条例では表示図書類や指定図書類、指定がん具などなど)を、その他一般の物品と分けて陳列することで、意図しない販売や入手を阻害する狙いで行う処理です。

各所での話を見ていると「この条例で言うゾーニングとは何か」がすれ違っている事がままありましたので図解してどんなもんかを理解してみましょう。

条例が区分陳列を求めている物

この図のように改正後の今条例では第九条3項/ 第九条の二4項で、「都知事が指定した指定図書類」と「自主規制団体が指定した表示図書類」に対して区分陳列を求めています。
その方法については「東京都規則で定めるところにより」としていますので、条例規則から引いてみます。

陳列方法については今回特に改正されていないので旧規則から。

第19条条例第9条第3項及び第9条の2第4項の規定により指定図書類等を他の図書類と明確に区分する方法は、次の各号のいずれかの措置をとり、かつ、指定図書類等を陳列する場所(第1号に規定する措置をとる場合にあっては当該場所の入口、第3号に規定する措置をとる場合にあっては当該仕切り板の表面)の見やすい箇所に、容易に判読できる色調及び大きさの文字を使用して、当該場所に陳列されている図書類は、青少年に販売し、頒布し、若しくは貸し付け、又は閲覧させ、若しくは観覧させることが制限されている旨の掲示をすることとする。
一 営業の場所に、間仕切り、ついたてその他の方法により容易に見通すことのできない場所を設け、当該場所に指定図書類等を陳列すること。
二 指定図書類等を、他の図書類を陳列する陳列棚の外周から60センチメートル以上離れた陳列棚に陳列すること。
三 陳列棚の指定図書類等を陳列しようとする各棚板の前面と直交する鉛直面上に、当該棚板の前面から10センチメートル以上張り出した仕切り板(透視できない材質及び構造のものとする。)を設け、指定図書類等を、仕切り板と仕切り板との間に陳列すること。
四 指定図書類等を、床面から150センチメートル以上の高さの位置に、背表紙のみが見えるようにしてまとめて陳列すること。
五 前各号に掲げるもののほか、指定図書類等が他の図書類と明確に区分されていると知事が認める方法

うむ。実に読みにくい。よって図示する。

ここで書かれている区分陳列の方法は次の4つ。

  • 間仕切りやついたてを使って成人用エリアとして区切る方法(1号)
    所謂 ビデオ屋やレンタルショップの18禁エリア方式。
  • 一般用の棚と60センチ以上離れた棚に陳列する方法(2号)
    1号よりも緩い島分け方式
  • 一般用の棚との間に10センチ以上張り出した不透明の仕切り板を作る方法(3号)
    コンビニで良く見る「成人向け」という仕切りを作る方式
  • 高さ150センチ以上の棚に背表紙を向けた状態で並べる方法(4号)

さらに、これらの区分を行うに当たって見やすい場所(特例あり)に「ここは成人向けだから青少年には販売(等)できません」的な表示をするように定めている。

なんという緩い規則だ。
流石にこれをするのは難しいという反論は厳しいよね。

区分陳列と並んで求めている包装とは

区分陳列と並んで、改正後の今条例では第九条2項/ 第九条の二2項で、「都知事が指定した指定図書類」と「自主規制団体が指定した表示図書類」に対して包装を求めています。

要するに「販売しなくても立ち読みができる」という状態を防止しようとしているものです。

これも「東京都規則で定めるところにより」としていますので、条例規則から引いてみます。

第18条条例第9条第2項及び第9条の2第3項の東京都規則で定める方法は、次の各号のいずれかに該当するものとする。
一 ビニール袋等により指定図書類又は表示図書類(以下「指定図書類等」という。)全体の包装を行うこと。
二 伸縮しない材質のひもにより十字掛け又はたすき掛けを指定図書類等に行うこと。
三 前二号に掲げるもののほか、指定図書類等を容易に閲覧できない方法と知事が認める方法

これは図示するまでもないね。

ここで求めている方法は次の3点のいずれか。

  • ビニールで包む方法(1号)
  • ひもで十字掛け、たすき掛けする方法(2号)
  • その他 開けないようにする措置
    現在の自主規制で行われている帯紙、所謂シール止めもここに当たる。

包装は小売店にとっては手間だけど、法の趣旨からして仕方ない面もあると思う。
このへんコンビニは徹底してやっとる印象。

この条例(改正後)で規制の対象となる図書類(7条1項1号2号関連)

今回の騒動の大元に斬り込んでみる。
対象となる条例規則は第十五条と改正第十五条2項、条例では第八条一項一号と二号。

例によって関連条文を図示して並べてみる。

分量が多いので割とでかくなった。

これを基に、騒動の発端になった条例第八条一項二号と、改正条例規約十五条2項、外縁の接する第八条一項一号と、条例規約十五条一項一号を比較する。

まずは発端の方の条例第八条一項二号と、改正条例規約十五条2項を読みといてみる。

この条項では「強姦等の著しく社会規範に反する性交等」と、「近親者間における性交等を」特に挙げている。

これらを(「社会的に是認されているように」or「当該行為の場面を『みだりに or 著しく詳細に or 過度に反復し』」 ) and (「描画」 or 「表現」) することで、「青少年の当該行為に対する抵抗感を著しく減ずるものであること。」 というのが要件になっている。

では、果たしてこれは第八条一項一号とはどのような関連になっているのだろうか。
こちらも併せて読みといてみる。

このように、八条一項一号には「卑わいな感じを与え」もしくは「人格を否定する性的行為を容易に連想させる」事が必須として係っている。
前に挙げた二号と比べてみるとこの必須事項が存在しないのが分かる。

と、いうことはどういうことか。

条項の範囲を考えれば「著しく性的感情を刺激するもの」は第8条1項と条例規則15条1項で抑え、そこから漏れた「著しくとは言えないもの」のうち「強姦等(ry」と「近親者間に(ry」を特に指定して規制していこうという意図が見える。

旧条例規則でどのようなものが「著しく性的感情を刺激するもの」とされたかは、審議会の議事録を見るとわかるように「モザイク」「擬音」などを勘案してかなり厳しく基準を引いている。

今回の改正では、この基準に漏れながらも「強姦等(ry」と「近親者間に(ry」を不当に扱っているものを成人指定するべきとしているのがよくわかる。

つまり今回の改正は「旧来の基準でガチエロと判定されなかったものでも強姦や近親相姦を不当に扱ったもの」を成人指定しようとしていると言えるんじゃなかろうか。

(以下 追記予定)

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東京都青少年育成条例 反対論カウンター条例編 /archives/2011/01/tokyo-jourei-counter-law.html /archives/2011/01/tokyo-jourei-counter-law.html#comments Wed, 05 Jan 2011 16:16:48 +0000 http://qyen.org/?p=1076 twitter界隈でよく見る反対論にいちいち反対するのもいい加減しんどいのでまとめて反論しておきます。

このエントリは主に条文に関わる部分について反論していきます。
条文以外のものは別エントリでやる予定です。

この改正はエロだけを狙ったものではない

文脈的には大体そのとおりですが、高確率でデマを含んでいるので注意。

まずは、今回の改正ポイントをおさらいしましょう。

今回の改正で規制に加わったものは大きく分けて次の3点。

  • 第三章 漫画・アニメでの不当な性描画指定の追加
  • 第三章の三 イメージビデオやチャイドルビデオとして発売されていたロリビデオ/本規制の追加
  • 第三章の四 援助交際や裏学校サイトなどで脚光を浴びた携帯、ネットサイト

この内ネットに関しては特にエロと限定されているわけではないので、「今回の改正がエロだけを狙った」という意味からは外れているわけじゃない。

では図書類に関してはどうか。

漫画アニメについては第七条二項で

二 漫画、アニメーションその他の画像(実写を除く。)で、刑罰法規に触れる性交若しくは性交類似行為又は婚姻を禁止されている近親者間における性交若しくは性交類似行為を、不当
に賛美し又は誇張するように、描写し又は表現することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を妨げ、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの

が追加され、関連して第八条二項、第九条の二 二項が追加されている。

これは法文的にこう読みます。

縦に並んでるのは全部orで、横に並んでるのは全部and条件です。
青い矢印は黒い線と同じように読んでください。(xmindで集約関係が表現できないんです(´・ω・`))

法文の読み方は通常の文章の読み方と違ったルールがあります。そこを知らずに通常の文章のように読むと読み間違いの元ですのでまずはこのへんを参考にルールを知ることから。

図を見ればお分かりの通りどのルートを通っても「性交」か「性交類似行為」を通過する。
・・・さすがにこれをエロ以外に適用するのは無茶です。

ただし、後段の条件において「不当に賛美」「不当に誇張」し「青少年の性に関する健全な判断能力の形成を妨げ、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの」とあるので、エロ全般がみんな規制されると考えるのは間違いです。

この賛美、誇張に係る「不当に」とはどういったものかは平成二十二年東京都議会会議録第十七号の吉田康一郎都議の質疑を引いてみる。

〇八十番(吉田康一郎君)
次に、条文中の不当な誇張とは何を指すのか、また、どのような運用を考えているのか伺います。
〇青少年・治安対策本部長(倉田潤君)
次に、不当に誇張の意味などについてであります。
不当に誇張するようには、漫画等において当然に伴う誇張的な描写、いわゆるデフォルメの程度を指すものではなく、刑罰法規に触れる性交等及び婚姻を禁止 されている近親者間の性交等について、これらの性交等が特別なものでなく、通常あり得るものとして受けとめられるほど、必要以上に詳細に描写したり、執拗 に反復して描写するなどにより、読み手である青少年から見て、こうした性交等に対する抵抗感を弱めるように描写していることを指します。
具体的には、例えば強姦など刑罰法規に触れる性交等について、不当に賛美するように描写してはいなくても、当該性交等の場面が、全編の大部分にわたり必 要以上に延々と微に入り細に入り、または執拗に反復して描写されているもので、その結果、読み手である青少年が、そのような性交等が特別なものではなく、 通常あり得るものとして受けとめ、青少年のこれらの性交等に対する抵抗感を弱めるものは、不当に誇張するように描写したものとして区分陳列を検討する対象 となり得るものと考えます。

・・・これ相当ハードル高いよ?

更に、これに該当して都知事の指定を受け、指定図書になった場合どうなるかといえば


(集約はできたけど前のやつは直しません。もう気合ゲージがEmptyなの。)
と、

  • 青少年に対する販売・譲渡の禁止
  • 青少年が誤って手にしないためのレーティングとゾーニング
  • 青少年が所持しないよう周囲の働きかけ

の3点を求めている。

( ゚д゚).。o( なんだこのションベン法 )

それはさておき。

結局のところ、この条例が求めているものは「ちゃんとレーティング(表示図書類)とゾーニング(表示図書類と指定図書類)しなさい」ってだけという結果になりました。
本当にありがとうございました。(あれ、なんかゴールがおかしい)

まあ、当然の帰結として「既に成人指定(いわゆる18禁)になっているものは指定の対象外」です。
だって、成人指定されてるものを再度指定してもやるこた一緒だし。
なので、既に成人指定されているエロ漫画なんかは関係ありません。関係するのは成人指定されていない一般紙でエロをビシバシやってるようなものです。REDいちごのあきそらとか性コミとかジャンプSQのToLoveるとか。

おかしなところに帰着しましたが、まとめると

  • 「今回の改正」が「エロそのものを規制しているか」と言えば、フィルタリング規定をごっそり増やしていることから微妙。
  • 「エロ以外の暴力的な表現の漫画も~」みたいなのは今回の改正とは関係なし
    それは以前の条例から既に規定されてます。
    既に施行済みの条例に基づいた審議においても話題になったのもGTA3ぐらいという蚊帳の外っぷり。
    まず関係ないと見てよし。
  • すでに成人指定されているエロは関係なし。
  • 一般紙でエロ満開なREDいちごや性コミあたりは覚悟しとけ。

といったとこです。

(;´д`) .。o( もう既にどうでも良くなってきた )

(つづく)

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/archives/2011/01/tokyo-jourei-counter-law.html/feed 3
東京都青少年育成条例に賛成する団体は何を問題視しているのか /archives/2010/12/tokyo-jourei-whats-disputed.html /archives/2010/12/tokyo-jourei-whats-disputed.html#comments Thu, 30 Dec 2010 18:08:34 +0000 http://qyen.org/?p=1058 今回の改正に当たり、積極的に賛成してきた団体は漫画やアニメの一体何を問題視し、何を規制したがっていたのかをここで整理してみる。

先のエントリでも引用した都小Pの公式見解から問題としている部分を抽出してみる。

○子どもを守るため、子どもが健やかに育つために、みんなで児童ポルノを根絶する責務を自覚すること

○漫画やアニメのうち、幼い子どもが自ら性交を求め、快楽を得ているかのようなものや、親子や姉弟・兄妹間の激しい性交があたかも愛情表現の一環であるかのように描かれているものなど、子どもに対する悪質な性行為を描いたものを、子どもに見せない、売らないようにすること

○携帯電話を介したインターネットの有害情報を巡り、子どもが児童買春などの犯罪やトラブルに巻き込まれたりすることのないように、フィルタリングの実効性を確保すること

青少年健全育成条例改正案の成立に関する緊急要望書を再度提出 – 社団法人 東京都小学校PTA協議会

漫画、アニメに関係しているのは真ん中の部分だろう。

では、果たして都小Pの言っているような販売がされているのだろうか。

条例の制度構成から見る現状

この条例の制度上、子供(青少年)に販売が許されないのは旧条例であれば第八条一項で都知事が指定する指定図書類と、自主規制団体によって指定される表示図書類が該当する。

ここでは表示図書類に指定されていない図書類と、過去の答申によって指定図書類に指定された図書類を並べることで、旧条例でどのような漫画が青少年に販売できているかを導きたい。

現在発売中の表示図書類に指定されていないもの

表示図書類(18禁)には次のようなマークが付けられるとしている。

  • 楕円形で黄色地に黒文字(もしくは黒地に黄色文字)の「成年コミック」(主に単行本)
  • 黄地長方形に黒文字の「成年向け雑誌」(主に漫画雑誌)
  • 赤地の正方形もしくは円に白色の18を書き、その上を黒のバッテン、または18の黒字が中に入った四角や円の「車両通行禁止」標識風(成人向け漫画では少なく、主にゲーム雑誌・写真集などに用いられる)

成人向け漫画 – Wikipedia

つまりこれらのマークが無いものは表示図書類ではないと解釈して良いわけだ。

ということでこれらのマークの無いコミック、雑誌をざっと列挙してみる。

・・・こりゃアカンわ。

これはエロが野放しに販売されてるって言われても反論できん。
どこが自主規制してるんだ。

平成22年度になって指定図書類に指定されたもの

気をとりなおして旧条例でどんな本が指定されてきたのかを都のページから引いてみる。

  • リイド社 新 ホントにあったHな体験①
  • 竹書房 ツマ恋専科
  • リイド社 インモラル女教師
  • 竹書房 ルナティック・ナース
  • オークラ出版 ミミ☆モエ
  • 双葉社 ぷにゅぷり!
  • ジュネット コミックジュネ 8月号
  • クイン出版 ツンデレ上司 リコ様OL日記
  • 双葉社 ゾッコン!ボイン温泉    ②
  • 竹書房 桃色団地の日情
  • メディアックス REAL LOVE Vol. 1
  • ユース社 Daito comics マザーフィール
  • 竹書房 人妻インモラル
  • 海王社 GUSHmaniaEX 特集 勃たない!?
  • 双葉社 ACTION  COMICS 奥さん!米屋です
  • 辰巳出版 NEOコミックス 極楽レディース 恍惚編
  • 竹書房 あまくちナイト①
  • 少年画報社【YCコミックス】 ニュースのお時間
  • ユース社 Daito comics 満開お姉さん
  • 竹書房 制服散歩
  • サン出版 コミックアムール №251 2010 11月号

東京都青少年健全育成審議会 会議資料・議事録 第607回条例の適用状況:不健全図書類

驚きの竹書房率である。
一体何でこれで自主規制が出来てるとか思えるのか謎に思えてきた。

驚きの結果

何か出てくる出版社に見覚えがあると思ったら反対派として声明を発表していたコミック十社会だった。

コミック10社会
秋田書店  角川書店 講談社 集英社 小学館 少年画報社 新潮社 白泉社 双葉社 リイド社

ざっと見ただけで10社会のうち7社がどう見てもアウトなもの出版してるというこの現状。
これを一体どう考えればいいんだ。

この条例改正に反対するってことは「小学校低学年だろうが幼稚園児だろうがここに挙げた本を売っても構わない」と考えているのと同義になるんじゃないか。

正直引くわ。

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/archives/2010/12/tokyo-jourei-whats-disputed.html/feed 1
東京都青少年育成条例 今回何が改正されたか /archives/2010/12/jourei-whats-revised.html /archives/2010/12/jourei-whats-revised.html#respond Thu, 30 Dec 2010 16:42:12 +0000 http://qyen.org/?p=1047 東京都青少年の健全な育成に関する条例及び規則について(平成22年12月22日公布) を元に、今回の改正で何が変わったのかを読解してみる。

本来は改正後の条例を元に読解すべきだけどさすがに力尽きるので新旧対照表と、前のエントリで作成した旧条例のマインドマップから変更点を抽出する。

このエントリで使用したマインドマップはこちら

なお、特に明記しない限り、単なる表記の変更や条項号の番号変更については割愛する。

  • (1/5 修正: 3-3の画像が表示されていなかったのを修正)

新設 – 携帯電話端末等の推奨(第五条の二)

従来の推奨制度に、携帯、PHSのフィルタリング機能が対象として追加された。
・・・なにゆえ携帯限定なのか。ワカラン

改正 – 第三章 漫画・アニメでの不当な性描画指定の追加(第七条―第九条の三)

今回の騒動の根幹部分にあたるのがここ。

具体的な改正箇所は、

  • 第七条で旧来の「青少年に対し、性的感情を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがある」という表現を一項に分離し、二項を新設
  • 第七条二項で「漫画、アニメーションその他の画像(実写を除く。)で、刑罰法規に触れる性交若しくは性交類似行為又は婚姻を禁止されている近親者間における性交若しくは性交類似行為を、不当に賛美し又は誇張するように、描写し又は表現することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を妨げ、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの」を新規追加
  • 第七条二項の追加に伴い、第八条二項、第九条のニ 二項を追加
  • 第九条の三に、繰り返し指定を受ける業者に対する勧告を強化

といったところか。

第七項二項で追加された文言は

(「刑罰法規に触れる性交若しくは性交類似行為」 or 「婚姻を禁止されている近親者間における性交若しくは性交類似行為」)を不当に (「賛美」 or 「誇張する」) ように ( 「描写」 or 「表現する」) ことにより~

という文章規則で読む。

「刑罰法規に触れる性交若しくは性交類似行為」は強姦や強制わいせつ、青姦やこの条例でも規制される青少年とのセックスを、「婚姻を禁止されている近親者間における性交若しくは性交類似行為」は近親相姦によるセックスを指す。

これらのものを「賛美」または「誇張する」ように書いたものを一般紙で書くなということだ。
注意すべきはこの条例で発売禁止などの処分をすることは不可能で、あくまでも青少年の目に触れないようにレーティングとゾーニングを徹底しなさいとしているに過ぎない点である。

少なくとも条文では。

新設 – 第三章の三 児童ポルノ及び青少年を性欲の対象として扱う図書類等に係る責務(第十八条の六の二・第十八条の六の三)

児童ポルノ及び青少年を性欲の対象として扱う図書類等に係る責務として第三章の三が新設された。

内容として

児童ポルノ及び青少年のうち13歳未満の者であつて衣服の全部若しくは一部を着けない状態又は水着若しくは下着のみを着けた状態(これらと同等とみなされる状態を含む。)にあるものの扇情的な姿態
を視覚により認識することができる方法でみだりに性欲の対象として描写した図書類(児童ポルノに該当するものを除く。)又は映画等

と指定しているところから、明確にロリもののイメージビデオを狙い撃ちしてるのがわかる。
(これがどういったものかは「ロリ イメージビデオ – Google 検索」 を参照)

全裸になってない、性器が露出していない、セックスしてないという言い訳でイメージビデオという逃げ道を作ってきたこれらを規制しようとしている。

改正条例ではこれらのビデオや図書類に対して、

  • 保護者等は13歳未満の子供が出演しないよう保護監督および教育に努める
  • 事業者は13歳未満の子供が出演しないよう努める
  • 都知事はこれらに反しているものがあれば事業者と保護者に指導、助言を行う
  • 都知事は必要であれば保護者、事業者に説明、資料の提出を求めることができる

としている。

13歳未満に限定しているのは、本人の意志の及ばない出演を考えているのだと思う。
・・・ただ正直生ぬるいと思う。

改正 – 第三章の四 インターネット利用環境の整備(第18条の6の4-第18条の8)

意外と強烈な改正となってるのがここ。

今まではざっくりとした努力目標だったネットのフィルタリングを、「、青少年のインターネットの利
用により青少年の売春、犯罪の被害、いじめ等様々な問題が生じている実態を踏まえ、青少年有害情報フィルタリングソフトウェア又はその提供する青少年有害情報フィルタリングサービスの性能及び利便性の向上を図るように努めなければならない」として、

  • フィルタリングサービス提供者
  • フィルタリングサービスの指針を作成する団体
  • フィルタリング対象を選別する団体
  • プロバイダ
  • 携帯キャリア
  • ネットカフェ、漫画喫茶
  • 青少年のインターネットの利用に関係する事業を行う者

と広範な業者に対しフィルタリングへの努力を求めている。
・・・ASP事業者としては最後の条項が気になる。

また、保護者に対して子供がネットを介して不法行為を行った場合の指導が追加されるなど、全体的に子供のネット利用に対し周囲の配慮を強く求めるようになった。

まとめ 今回の条例で狙い撃ちにされたもの

こうして見てみると今回の条例で狙い撃ちにされたものは、

  • 漫画・アニメでの一般紙などにおける不当な性描写
  • イメージビデオとすり抜けてきたAVもどきのロリビデオ
  • 援助交際や裏学校サイトなどで脚光を浴びた携帯、ネットサイト

であるのがよくわかる。

漫画やアニメでの性描写についての現状は別エントリに記載するが、総じて規制も已む無しという印象だがどうだろうか。

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東京都青少年育成条例を巡る対立構造 /archives/2010/12/conflict-for.html /archives/2010/12/conflict-for.html#respond Thu, 30 Dec 2010 14:33:22 +0000 http://qyen.org/?p=1042 この条例に対して積極的にアプローチしているアクターとその構造をリストアップして俯瞰してみる。
あまりに多岐に渡りすぎるので個人は割愛。

積極賛成派

これは主にPTAになるとおもう。
毎日新聞によれば

要望したのは、都小学校PTA協議会(都小P、加盟248校)▽都私立中学校高等学校父母の会中央連合会(同246校)など5団体。都小Pの新谷珠恵会長 が「児童を性的対象にすることが野放し状態。子供を健やかに育てるため、社会の力を借りないと環境整備できない」と説明した。

都青少年健全育成条例改正案:PTA団体など、都に成立求め要望書 /東京 – 毎日jp(毎日新聞)

と、都小学校PTA協議会など5団体とか。

都小Pの主張はブログにあった。

青少年の健全な育成を図るため、児童ポルノの根絶や青少年を性的対象として取り扱う漫画・アニメ等の蔓延防止と、青少年のインターネット利用環境の整備に関する以下の規定を盛り込んだ青少年健全育成条例改正案が、第1回都議会定例会に提出されました。

○子どもを守るため、子どもが健やかに育つために、みんなで児童ポルノを根絶する責務を自覚すること

○漫画やアニメのうち、幼い子どもが自ら性交を求め、快楽を得ているかのようなものや、親子や姉弟・兄妹間の激しい性交があたかも愛情表現の一環であるかのように描かれているものなど、子どもに対する悪質な性行為を描いたものを、子どもに見せない、売らないようにすること

○携帯電話を介したインターネットの有害情報を巡り、子どもが児童買春などの犯罪やトラブルに巻き込まれたりすることのないように、フィルタリングの実効性を確保すること

青少年健全育成条例改正案の成立に関する緊急要望書を再度提出 – 社団法人 東京都小学校PTA協議会

ゾーニングとフィルタリングをきちんと行い、むやみに青少年に対してそのような商品を提供しない社会基盤を求めてる。
うーん。asciiで見た記事(削除されてるのではてブ)で感じたトンガリ具合に比べてかなりマイルドに。
というか極めて真っ当な主張にしか見えないがどうか。

都中Pの主張も似た感じ。

昨今、メディアからの過激な性情報を始め、著しく性的感情を刺激する図書類等の販売、ケータイやインターネット普及による有害サイトなど、性産業の商業主義から子どもたちを対象とした性情報の氾濫が目に余ります。
このような中で、書店やコンビニ等で一般の書籍と同列に並べられて販売されている状況には反対します。言うまでもなく、区分陳列や青少年への販売規制はもちろん、有害サイトの根絶を支持しています。
特に、子どもたちの人権を傷つけ児童虐待となる児童ポルノの根絶や被害者の救済・支援は急務であると考えます。
東京都中学校PTA協議会

まぁそりゃそやね。

積極反対派

出版側のアクターは出版倫理協議会とその母体となった4団体(日本雑誌協会日本書籍出版協会日本出版取次協会日本書店商業組合連合会) とやたら声のでかいコミック10社会になるか。

主張は小学館のサイトから。

《東京都青少年健全育成条例改正案可決に抗議します》
平成22年12月15日
出版倫理協議会
議長 鈴木富夫

本日、東京都議会は、賛成多数で青少年健全育成条例改正案を可決しました。漫画・アニメの制作者から広範な反対の声が上がり、出版界もこぞって この条例改正案の問題点を指摘し続けてきたにもかかわらず、改正案が可決に至ったことに、私たち出版倫理協議会(日本雑誌協会、日本書籍出版協会、日本出 版取次協会、日本書店商業組合連合会の出版4団体で構成)は強い憤りを表明します。

都当局がこの改正案の条文全文を明らかにしたのは、 定例議会開始直前の11月22日であり、それからわずか3週間余で、まともな議論も経ないまま可決に至らせた行為は暴挙と言うほかありません。その間、都 当局は、当事者である漫画家やアニメ制作者との話し合いの場を持つこともいっさいなく、刑罰法規に触れる性交若しくは性交類似行為などを「不当に賛美し又 は誇張」した表現を規制する、というきわめて曖昧で抽象的な文言が加えられたことにより、漫画・アニメの制作現場には、さらなる混乱と不安が広がっていま す。

そもそも付帯決議に盛り込まれた「第七条第二号及び第八条第一項第二号の規定の適用に当たっては、作品を創作した者が当該作品に表 現した芸術性、社会性、学術性、諧謔的批判性等の趣旨を酌み取り、慎重に運用すること」「東京都青少年健全育成審議会の諮問に当たっては、新たな基準を追 加した改正条例の趣旨に鑑み、検討時間の確保など適正な運用に努めること」という文言は、漫画家や出版界が以前から強く主張してきたことではありますが、 ここに記された「慎重に運用」「適正な運用」は、現行条例の範囲内でこそ行われるべきものです。

私たちは、この条例改正に今後も断固とした反対の姿勢を貫くとともに、平成23年7月の施行を見据えながら、さまざまな機会を捉えて行動を起こしていく所存です。
出版倫理協議会、およびコミック10社会が、東京都青少年健全育成条例改正の動きに抗議する声明を発表 | お知らせ | 小学館

2:コミック10社会「東京国際アニメフェア2011に関する緊急声明」

平成22年12月10日
緊急声明


12月7日深夜、角川書店の井上伸一郎社長がツイッターで表明した「東京国際アニメフェア2011」への出展取りやめは、瞬く間にネット上で大きな反響を巻き起こしました。

言うまでもなく、同アニメフェアの実行委員長は石原慎太郎東京都知事です。

石原都知事は、今回の「東京都青少年健全育成条例」改正に関して、たびたび漫画や漫画家に対する不誠実で無理解な発言を繰り返し、同改正案の成立を突き進めております。

「東 京都青少年健全育成条例」改正に関しては、規制の対象が極めてあいまいであるとして多くの議論を呼び、本年6月に否決されたことは、周知の事実です。こう した改正案に新たに修正を加える場合、その内容と条文をあらかじめ公にして、議論を尽くすべきですが、今回、都側は、そのようなことを一切実施していませ ん。この改正案は、最も重要視されるべき漫画家やアニメ制作者との話し合いがただの一度も行われないまま、今日に至っております。

また、提出された改正案についても、これまでの出版界と都当局との話し合いの歴史を踏みにじるものであり、規制の対象は依然あいまいで、むしろ拡大さえしています。

こ うした経緯を踏まえれば、当事者である漫画家やアニメ制作者が、都側の一連の行動および改正案に強い怒りと不信感を抱くのは当然です。漫画家・アニメ制作 者の、漫画やアニメの未来を憂える発言に対して、本来ならば石原都知事と都当局は、真摯に耳を傾けるべきだと考えますが、それさえ行おうとせず、事実誤認 に満ちた不誠実な発言を繰り返し続けています。

我々は、こうした石原都知事および都当局の、漫画家・アニメ制作者たちに対する敬意に欠 けた姿勢に強い不信感を抱かざるをえません。このような状況において、石原都知事が実行委員長として開催しようとしているアニメのイベントに賛同し、行動 をともにすることは到底できるものではありません。

我々は、「東京国際アニメフェア2011」への協力・参加を断固、拒否します。

以上
コミック10社会
秋田書店 角川書店 講談社 集英社 小学館 少年画報社 新潮社 白泉社 双葉社 リイド社
出版倫理協議会、およびコミック10社会が、東京都青少年健全育成条例改正の動きに抗議する声明を発表 | お知らせ | 小学館

出版社側の言い分としては、

  • 条文の規定があいまい
  • 現行条例で充分で規制を強化する必要はない
  • 漫画家やアニメ製作者との話し合いを持て

あたりか。

なんか全然噛み合ってないな。

中立・ノーポジ派

一般有権者がここにいるんじゃないか。

個人的には東京都もここに含めたい。
東京都が行政府として積極的に規制する理由が「推進派による突き上げ」以外に思い浮かばないし。

対立構造洗い出し

対立軸を挙げるとするなら現状に対する問題意識か。

現状の規制を問題視する推進派に対し、現状で充分であるとする反対派といった構図になると思う。
現状の分析は別のエントリでやるとしてこの軸を中心に各々がどう見ているか。中立の一般有権者をどう取り込むかが長期的な戦略のコアになっていくとおもう。

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改正前の条例読解 /archives/2010/12/tokyo-jourei-before-revise.html /archives/2010/12/tokyo-jourei-before-revise.html#respond Thu, 30 Dec 2010 12:42:14 +0000 http://qyen.org/?p=1021 今回の条例改正にあたり、旧来の条例がどんなもので改正によってどの点が変更されたかを正しく知ることが何より重要なので、まずは現在施行されている元の条例を読みといてみる。

これはあくまで改正前の条例であることに注意。

改正前の条例は下のリンクから確認できる。

条例を章ごとに集約して可読性を若干高めたのがこれ(開くにはxmindが必要)

条例に出てくる用語

法文では出てくる単語に独自の定義をしていて、これを一般的な用語と読んでしまうとそもそもの話が咬み合わなくなってしまうので、用語をちゃんと整理して覚えておくのが大前提になる。

この条例の中で定義されている用語を書きだしてみた。

サイズがクソでかいのでダウンロードしてビューアーで見るがいいかも。

今回の騒動で関係するものを書きだすと

  • 青少年
    18歳未満のもの
  • 保護者
    親権を行う者、後見人その他の者で青少年を現に保護監督するもの
  • 図書類
    販売、頒布、閲覧、観覧に供する目的をもって作成された、書籍、雑誌、文書、図面、写真、ビデオテープ、ビデオディスク、コンピュータソフトの入ったCDなどの記録媒体、映写用のフィルムやスライドフィルム
  • 図書類発行業者
    図書類の発行を業とする者。いわゆる出版社
  • 図書類販売業者等
    図書類の販売又は貸付けを業とする者及びその代理人、使用人その他の従業者並びに営業に関して図書類を頒布する者及びその代理人、使用人その他の従業者
    要するに図書類で挙げたものを売る会社やその従業員

といったとこか。指定図書類なんかは後で触れる。

条例の構成

東京都青少年育成条例は次のように章立てて構成されている。

  • 前文
  • 第一章 総則(第一条―第四条の三)
    この条例の理念や考え方、それに知事や都民の責務について
  • 第二章 優良図書類等の推奨及び表彰(第五条・第六条)
  • 第三章 不健全な図書類等の販売等の規制(第七条―第十八条の二)
  • 第三章の二 青少年の性に関する健全な判断能力の育成(第十八条の三―第十八条の六)
  • 第三章の三 インターネット利用環境の整備(第十八条の七―第十八条の九)
  • 第四章 東京都青少年健全育成審議会(第十九条―第二十四条の二)
  • 第五章 罰則(第二十四条の三―第三十条)
  • 第六章 雑則(第三十一条)

これらの条文はそれぞれが複雑にリンクしているので、特定の条文だけで判断すると読み違えるので通読しておく必要がある。
個々の条文については以下個別に触れる。

前文

われら都民は、次代の社会をになうべき青少年が、社会の一員として敬愛され、かつ、良い環境のなかで心身ともに健やかに成長することをねがうものである。
われら都民は、家庭及び勤労の場所その他の社会における正しい指導が、青少年の人格の形成に寄与するところきわめて大なることを銘記しなければならない。
われら都民は、心身ともに健全な青少年を育成する責務を有することを深く自覚し、青少年もまた社会の成員としての自覚と責任をもつて生活を律するように努めなければならない。

前文では

われら都民は、次代の社会をになうべき青少年が、社会の一員として敬愛され、かつ、良い環境のなかで心身ともに健やかに成長することをねがうものである。

という目標に対する都民の義務として、

  • 青少年の人格形成には大人の正しい指導が必要だと覚えておく
  • 大人は青少年を健全に育成する責任がある
  • 青少年は社会の成員として生活を律する努力をする

を挙げている。

以下の条文ではこの目標の為の具体的な方策が記述されている。

第一章 総則(第一条―第四条の三)

一部要約したのがこれ。

第一章では目的、定義、条例適用時の注意、都の責務、保護者の責務、都民の申し出について書かれている。

目的は前文と同様、定義は前述なので割愛。

適用上の注意として

  • この条例は健全な青少年の育成という目的を逸脱して濫用してはならない(第三条)
  • この条例を適用する場合、青少年の人権に尊重しなければならない。(第三条のニ)
  • この条例を適用する場合、青少年の精神的、身体的な特徴に留意しなければならない。(第三条のニ)

としてる。
平たく言えば「目的外使用の禁止」「相手が子供だってのを忘れるな」といったとこか。

東京都の責務としては

  • 都は、青少年を健全に育成するために必要な施策を行う(第四条)
  • このために必要な体制を作る(第四条 2項)
  • 東京都下の市町村や公的機関が行う(この条例の目的にかなう)事業に指導、助成する努力をしなさい(第四条 3項)
  • 都知事はこの条例でどんなことをしたのか毎年発表しなさい(第四条 4項)

といったあたり。あとに続く施策の裏付けみたいなもんか。

保護者の責務では

  • 子供がちゃんと健全に育つように努力しなさい(第四条の二)
  • 関連する行政機関から虐待などで指導された時はそれに従いなさい。(第四条の二 2項)

としている。当たり前のことばかり。

あと別項として都民はこの条例について都知事に陳情できる(第四条の三)としてる。

第二章 優良図書類等の推奨及び表彰(第五条・第六条)

東京都が青少年の健全な育成に資すると思う本や映画などを推奨したり表彰したりできるといったもの。
どんなものが推奨されているかは東京都青少年健全育成審議会の答申で見られる。
(審議会や不健全図書については後述するのでひとまず無視)

第三章 不健全な図書類等の販売等の規制 (第七条―第十八条の二)

超大作すぎる( ´Д`)=3
自販機に関する許認可のあたりは割愛。

あまりにも大きすぎるのでセクションを次の3つに分割する。

  1. 規制の対象となる物品
  2. 規制の対象となる行為
  3. 行政の取り組み

1.規制の対象となる物品

この条例では青少年に対して販売、閲覧等を避けるべき物品として次の4つを挙げている

  • 図書類
  • 映画・演劇等
  • 特定玩具(大人のおもちゃ、アダルトグッズなど)
  • 刃物

それぞれの商品についてはおおよそ「規制の対象について」「自主規制」「青少年からの隔離」というカテゴリーで規定されている。

条例の構造としてはまず業界の自主規制に任せそこから漏れたものを都が知事の名で規制する、という形になっているのがわかる。

図書類に絞ってみれば、都知事の指定した指定図書は「都の指定した成人指定(18禁)」であり、自主規制団体の行う成人指定と同じ扱いをしなければならない。というよりも、自主規制団体の行う成人指定と同じ扱いをさせる事しか出来ないため、既に成人指定されている図書類をあえて指定図書とする意味が無い。
よって、指定図書類の制度そのものが自主規制による規制から漏れているものをきちんと成人指定する為の制度であると言える。

その規制の対象となる物品はおおよそ

性的感情を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがある

という表現で包括的に指定している。
これは正しい判断が大人よりも難しい蓋然性の高い青少年に対し、性行為や自殺、犯罪行為に近づけるような情報・物品を安易に渡すべきではないという考えに基づいているように思う。

そして、これらの物品に対しては

  • 青少年に対する販売・譲渡の禁止
  • 青少年が誤って手にしないためのレーティングとゾーニング
  • 青少年が所持しないよう周囲の働きかけ

を求めている。

2.規制の対象となる行為

この条例では青少年に対する以下の行為を禁じている

  • 質屋や古物商での取引
  • ブルセラ行為
  • ブルセラや風俗への勧誘
  • ホストクラブやキャバクラへの客引き
  • 深夜外出、および外出させる行為
  • 深夜営業の歓楽施設への入場
  • 青少年に有害な広告の設置

まぁ言ってみれば当たり前のことばかり。

3.行政の取り組み

これらの規制が正しく行われるための行政の取り組みとして以下のものが挙げられている。

  • 書店や映画館への立ち入り調査
  • 質屋や古物商、風俗店などへの立ち入り調査
  • 規定に違反した者に対する警告

立ち入り調査は第十七条4項で「第一項及び第二項の規定による立入調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。」 とされているので、警察における捜査権とは違い強制力の無い任意の立ち入り調査であると思われます。
ただし、これを拒んだり妨げたりした場合、後述の第二十六条の二2項で20万円以下の罰金が課されますのであしからず。

第三章の二 青少年の性に関する健全な判断能力の育成(第十八条の三―第十八条の六)

  • 青少年とセックスするな
  • 青少年を安易にセックスさせるな

以上。

(;´д`) ・・・いや、だってほんとにコレ以外書いてないんだもん

第三章の三 インターネット利用環境の整備(第十八条の七―第十八条の九)

ネットのフィルタリングに関するセクション。

  • プロバイダはフィルタリングできるよう努力せよ
  • 利用者と契約するときにはフィルタリングの存在を告知しなさい
  • ネットカフェでもフィルタリングできるよう努力せよ
  • 都は青少年のネット利用に関連して教育・啓蒙の施策に努める
  • 家庭でもきちんと教育しなさい

といったあたり。

全て努力目標なのが救いというかなんというか。

第四章 東京都青少年健全育成審議会(第十九条―第二十四条の二)

この手の条例、法律で割とよくある形の審議会。
最大で20人てのは割と多い方だと思う。

構成メンバーが

  • 業界から3人以内
  • 青少年の保護者3人以内
  • 学識経験者 8人以内
  • 関係行政機関の職員 3人以内
  • 東京都職員 3人以内

となっている。
直接の利害関係者である業界と保護者の意見対立を学識経験者と行政機関職員、都職員でバランスするといった意図か。

現在の構成メンバーはここで見ることができる。

議事録も公開されているので目を通してみるといいと思う。
かなり真面目に審議をしている様子がわかる。

第五章 罰則(第二十四条の三―第三十条)

第二十四条の三以外はおおよそ販売、サービス提供側に課されている。
特に行政指導や警告に従わなかった業者に対するペナルティが重めに設定されているように見える。

第六章 雑則(第三十一条)

この条例以外に東京都規則で定める ってだけ。
図もいらんな。

まとめ

以上ここまでが現在施行済みの条例である。
これを下敷きに、今回どのような改正がなされたかを知らなければ、今回の改正について正しく判断することは決して出来ないのでまずはこれを頭に叩き込みましょう。

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